頭痛の種類

頭痛の種類

一次性頭痛と二次性頭痛の違い

頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。この分類を理解することは、適切な治療につながる第一歩です。まずはご自身の頭痛がどちらに当てはまるか、専門医に確認してもらうことが重要です。

一次性頭痛と二次性頭痛の違い

一次性頭痛

頭痛そのものが病気です。脳や神経に器質的な異常(腫瘍・出血など)は認められず、頭痛を引き起こす「主犯」は頭痛メカニズム自体にあります。日本の頭痛患者の約85〜90%が一次性頭痛に該当します。代表的なものに「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があります。

二次性頭痛

何らかの疾患・状態が原因となって引き起こされる頭痛です。くも膜下出血・脳腫瘍・髄膜炎など、命に関わる疾患が潜んでいることがあります。「今まで経験したことがない頭痛」「突然始まった激しい頭痛(雷鳴頭痛)」「発熱・吐き気・項部硬直を伴う頭痛」は二次性頭痛の危険サインです。直ちに医療機関を受診してください。

比較項目 一次性頭痛 二次性頭痛
定義 頭痛そのものが病気。
脳・神経などに器質的異常なし
他の疾患・状態が原因で
引き起こされる頭痛
主な種類 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛
三叉神経・自律神経性頭痛など
くも膜下出血、髄膜炎、
脳腫瘍、頸原性頭痛など
画像検査 通常は異常なし 原因疾患が検出されることあり
緊急性 基本的に生命危機なし
(QOL低下は深刻)
命に関わる可能性あり。
早期の精密検査が必須
治療方針 対症療法+予防療法
(生活習慣改善を含む)
原因疾患の根治的治療が優先
割合 頭痛全体の約85〜90% 頭痛全体の約10〜15%

⚠ 危険な頭痛のサイン(すぐに救急受診を) 雷鳴頭痛(突然の激烈な頭痛)/発熱+項部硬直/意識障害・麻痺を伴う頭痛/今までに経験したことのない頭痛/悪化し続ける頭痛

二次性頭痛の種類

二次性頭痛は大きく8つのカテゴリに分類されています。以下に各カテゴリと主な原因疾患をまとめます。二次性頭痛は原因疾患の治療が最優先です。

二次性頭痛の種類
疾患カテゴリ 特徴・注意点
頭部外傷・頸部外傷に伴う頭痛 交通事故・スポーツ外傷などによる外傷後頭痛。むち打ち損傷後も含む。
脳血管障害に伴う頭痛 くも膜下出血(突然の激痛)、脳出血、脳梗塞、RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)など。命に関わる緊急疾患。
頭蓋内病変に伴う頭痛 脳腫瘍、硬膜下血腫、水頭症など頭蓋内圧亢進が原因。朝方に強い頭痛が特徴的。
感染症に伴う頭痛 髄膜炎・脳炎・副鼻腔炎など。発熱・項部硬直を伴う場合は至急受診が必要。
ホメオスタシス障害による頭痛 低酸素血症・透析・高血圧脳症・甲状腺機能障害など全身性疾患に伴う頭痛。
頭頸部の構造物障害に伴う頭痛 頸椎症・顎関節症・緑内障・眼精疲労・歯科疾患など局所的な器質的疾患が原因。
薬物・物質による頭痛 アルコール・一酸化炭素・薬剤(降圧薬・硝酸薬等)の副作用・離脱症状として出現。
精神疾患に伴う頭痛 うつ病・不安障害・身体症状症などの精神疾患に伴い持続する頭痛。

近年注目される頭痛の種類(11選)

片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛以外にも、注目度が高まっている頭痛があります。以下では、現代人のライフスタイルや最新の分類に基づき、特に知っておきたい11種類を解説します。

一次性頭痛 — 近年注目のタイプ
近年注目される頭痛の種類(11選)

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)

鎮痛薬やトリプタンを月10日以上・3か月超にわたって使用し続けることで、頭痛がかえって慢性化・増悪する状態です。「飲めば飲むほど頭痛になる」悪循環が特徴で、有病率は一般人口の約1〜2%。日本では市販薬を手軽に購入できる環境もあり、患者数は増加傾向です。

治療の方向性 

原因薬剤の中止が基本。抗CGRP関連抗体製剤(ガルカネズマブ等)の予防投与も近年有効性が報告されており、専門医のもとで段階的に離脱を進めます。

前庭性片頭痛

めまいや平衡感覚の異常を主症状とする片頭痛の亜型です。頭痛を伴わないケースもあるため、耳鼻科でメニエール病と誤診されることが少なくありません。全めまい患者の約17%を占めるという報告もあり、近年ICHD-3に正式収載されました。

治療の方向性

片頭痛予防薬(バルプロ酸、アミトリプチリン等)の短期投与が有効とされます。生活習慣の見直しとトリガー管理を組み合わせた総合的アプローチが推奨されています。

慢性連日性頭痛

3か月以上にわたり、1か月に15日以上頭痛が続く状態の総称です。慢性片頭痛・慢性緊張型頭痛・薬物乱用頭痛などが含まれます。日本では人口の約3〜5%が該当するとされ、就労・生活の質への影響が深刻です。

治療の方向性

原因別に予防薬を選択します。片頭痛型には抗CGRP製剤、緊張型には三環系抗うつ薬が有効。認知行動療法など非薬物療法との併用が推奨されます。

新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)

ある特定の日から突然始まり(発症日を明確に覚えていることが多い)、以降毎日続く頭痛です。ウイルス感染後や強いストレス後に発症しやすく、コロナ後遺症との関連も注目されています。治療に抵抗することが多い難治性頭痛の一つです。

治療の方向性

確立された標準治療はなく、三環系抗うつ薬・神経安定薬・抗てんかん薬などを組み合わせた個別対応が行われます。専門外来への早期受診が重要です。

環境・生活習慣と関連する頭痛

気象病による頭痛(天気頭痛)

気圧・気温・湿度の変化により内耳が過剰反応し、自律神経の乱れを介して頭痛が引き起こされます。気象病患者の8割以上が頭痛を訴えており、近年「天気痛」として認知度が急上昇。低気圧が接近する数時間前から痛みが始まるのが特徴です。

治療の方向性

五苓散などの漢方薬や内耳の感受性を下げる薬(酔い止め成分)が有効とされます。天気アプリを活用した先回り対策と自律神経を整える生活指導を組み合わせます。

頸原性頭痛(首からくる頭痛)

頸椎・頸部筋・神経の器質的異常を原因とする二次性頭痛です。後頸部から後頭部・側頭部にかけて片側性に広がる鈍い痛みが特徴。長時間のPC作業やスマートフォンの使用によるストレートネック(スマホ首)の増加とともに患者数が増加しています。

治療の方向性

頸部の理学療法・姿勢矯正が基本。神経ブロック注射(大後頭神経ブロック等)が奏効するケースも多く、NSAIDsと組み合わせた集学的治療が推奨されます。

後頭神経痛

Occipital Neuralgia 神経系 電撃様の痛み|後頭部〜頭頂|触れると激痛
大後頭神経・小後頭神経の炎症または圧迫によって生じる神経痛です。首のつけ根から後頭部にかけて電撃様の鋭い痛みが走り、シャンプー時の頭皮接触で激痛が走ることも。片頭痛との誤診が多く、スマホ首や長時間のデスクワークが誘因になることがあります。

治療の方向性

大後頭神経ブロック(ステロイド+局所麻酔薬)が第一選択。神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン等)の内服や、難治例では高周波熱凝固術も選択肢です。

起立性頭痛(低髄液圧性頭痛)

座位・立位で増悪し、臥位で著明に改善する頭痛です。脊髄液が硬膜の亀裂から漏出することで頭蓋内圧が低下して起こります。起立性調節障害の一症状としても出現し、不登校・休職の原因になることも。MRIによる漏出部位特定が診断の鍵です。

治療の方向性

安静・水分摂取・カフェイン摂取が初期対処。根治には自家血を硬膜外腔に注入する「硬膜外自家血パッチ」が最も有効で、約90%に効果があるとされます。

神経・精神科領域との交差 / その他の注目頭痛

痛覚変調性疼痛に関連した頭痛

神経・組織の損傷がないにもかかわらず、脳が痛みに過敏化(中枢感作)することで慢性頭痛が持続する病態です。2021年に国内8学会で正式採用された新しい痛みの概念で、片頭痛の慢性化や薬物乱用頭痛の背景にもこのメカニズムが関与しています。

治療の方向性

SNRI(デュロキセチン)や三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)でセロトニン・ノルアドレナリンを増やし、脳の過敏性を正常化します。認知行動療法との併用が推奨されます。

ポストコロナ頭痛(Long COVID頭痛)

新型コロナウイルス感染後に長期間(4週間以上)持続する頭痛です。ブレインフォグを伴うことが多く、既存の頭痛薬が効きにくいのが特徴。機序はCGRP過剰放出・自律神経障害・神経炎症などが複合的に関与していると考えられており、世界的に研究が進行中です。

治療の方向性

抗CGRP製剤や低用量ナルトレキソン(LDN)の有効性が報告されています。頭痛専門外来と内科・精神科が連携した学際的アプローチが求められます。

性行為頭痛(一次性性行為頭痛)

性的興奮や性交中・オルガズム前後に突然出現する頭痛です。後頭部から頭全体が「爆発するように」痛む雷鳴頭痛型と、性的興奮とともに徐々に増強する鈍痛型があります。男性に多く(男女比約3:1)、頭蓋内圧の急激な上昇や血管の急速な拡張が関与していると考えられています。くも膜下出血など緊急性の高い二次性頭痛との鑑別が最重要です。

治療の方向性

急性期にはトリプタン系薬剤やインドメタシンが有効とされます。予防にはインドメタシンやβ遮断薬(プロプラノロール)を性行為前に服用する方法が有効です。